秋の八幡平とウニ丼

いままで乗っていた車の車検が9月下旬で切れたあと、漸く新しい車が先週末に納車されて来たので、早速、慣らし運転を兼ねて秋の八幡平へとドライブに出かけた。



10月13日(月)は体育の日の祝日にして絶好の秋日和。おまけに3連休の最終日ともなっているので行楽地などとっくに賑わいも終わり閑散としているだろうという読みだった。もっとも、いくら混み合うといってもこちらは首都圏と比べたら、たかが知れているはずなのである。



こちらに引っ越してから、いろいろな事情から4人乗りの車が必要になり、いままで乗っていた車が5年目の車検を迎える9月を期に買い換えることを決断していたのだった。



それを選ぶにあたり、適宜試乗を重ねた結果、消去法で決めることにした。つまり、どこか飛び抜けて良いところがあっても他が思わしくなければ評価が低いという方法である。その結果、肝心要のドライブフィールが薄い車を選ぶことになってしまった。現役時代なら、絶対にこのような手法では選択しなかったであろうし、多少の粗があってもドライビングフィールを絶対条件にしたはずなのに、最早、このような破格の冒険は出来ないのである。



いままで乗っていた車の系列にもしかるべき4座のセダンはあり、大から小までシリーズ化されている。ディーラーに出向き試乗を重ねる度に感心することは、どの車種に乗っても全く同じドライブフィールを味わえることであり、期待を裏切ることがないのである。これは、そのメーカーの車開発に於いて、ドライビング感覚を決める重要な職責にその道のプロ、マイスターを一人置いて、その人に全権を委ねているに違いないと想像されるのだった。



ほぼ、それに決め掛けた頃、好事魔多しと言うか魔が差したというべきか、別のディーラーを冷やかしついでに覗いてみた。そして試乗してみた車が予想に反して結構良い印象だったのである。特に足回りが、路面の凹凸をコツコツと軽くいなしダンピングの効いた切れ味鋭い乗り味を示していた。



意外だった。世間の評価とはまるで違うその車を改めて観察してみたのだが外観の好みが合わないことを除くと特に非となるべきところも見当たらない。こうなると最早、性能面では比較が出来ず、その他の付帯的条件やファイナンス条件により決まってしまうのであった。その結果が、残念なことに、一番大切なものが失われることになった。



その後、契約を交わした後、車検切れのしばらくの間、ショールームに1年間は展示していたと思われる代車がやってきた。距離の積算計は、ほんの500km程度だったので、生産時期を除いては、ほぼ新車と同じであったのだが、それに乗り高速ドライブをした途端、興ざめしてしまった。



足回りが路面の凹凸を拾ってどたばたと落ち着きが無く、更に前後斜め方向にピッチングが発生する。まるで、路面の衝撃を何重にも挟んだゴムで吸収する出来の悪い旦那車のようだった。試乗車とのあまりの違いに、これはやられたかと思ったのだが、1年間は寝ていた車だから、あちこち固まっていて動きが渋かったのかも知れない。



漸く、正式に納車された車を前に、真っ先に乗り味を確認してみたところ、それは代車の足回りよりは数段マシだったが、最初に乗った試乗車のイメージには達しなかったのである。あのコツコツとした好ましい軽快な足裁き。あれはいった何だったのだろうと深く疑問に思ったのだが、結局のところ、このメーカーは同じ車種の間でさえ、ドライビングフィールを統一的に管理できていないのだと思わずにはいられなかったのである。




秋の東北道を北へ北へと北上を続けると、空は絶好の秋日和。雲一つない青空に心地よい秋風が吹き渡る。道はどこまでも空いていて慣らし運転の定速走行にはもってこいだった。やがて車は松尾八幡平インターに到着し、下界に降りた後は八幡平ロッジを目指して山道を登る。



以前、ここまで来たときは人一人見当たらず車も1台も走っていない、その所為か、八幡平ロッジは閉鎖されていて閑古鳥が鳴いていた。隣にある八幡平YHは辛うじて営業していたのだが、その主人に尋ねたところ、不況のあおりで1年前にロッジは倒産したという。その大きな建物の前にテントを張り、そば屋と饅頭屋だけが偶に来る客目当てに営業しているだけだった。



今日の昼食は、その八幡平ロッジ前のそば屋で盛岡じゃじゃ麺を食べようと思っていたのだが、車が進むに連れ、どうしたことか山の一本道に車が数珠つなぎに渋滞し出したのだった。さすがに、連休だけあり、如何に田舎でも行楽地は混み合うのかと思い、それでも未だ都会と比べると混み合っているうちには入らないと軽く考えているうちに、八幡平ロッジ前の広い駐車場に到着した。



しかし、既に一杯の車で埋まっていて漸く空きを見つけて何とか駐車したのだが、昼食はここでは諦めざるを得なかった。およそ、通常とはかけ離れた行楽客の大群があたりを埋め尽くしていたのである。



やむなく、更に山を登り、山頂付近の見返り峠を折り返し、松尾地熱発電所を通って八幡平リゾート方面に抜けようと思った。時間は午後1時過ぎだから未だ十分に余裕はある。



山の一本道を上り始めて、ものの5分もしないうちに車は止まってしまった。のろのろと1速で僅かながら動き出すか、上り斜面で止まってしまうかのどちらかだった。一体、何故こんな山道で渋滞するのか理由が分からず、苛々が募るばかりだったが、状況は改善されず、それから延々1時間はその状態を続けてのろのろと進むのだった。やがて、山頂が開けて見渡せるところまで登ったとき、あと1~2km先だろうか、山腹を切り開くように続く山道の先に展望台の建物が見えてきた。そして、それを目指すかのように山道を埋め尽くす車の列、列、列。



漸く状況が呑み込めて、これでは本来の目的の慣らし運転にならないと思い、山道の避難所に差し掛かったところでUターンし、そのまま下山した。下り方面はすこぶる空いていたのである。



もと来た道をそのまま引き返し、再び松尾八幡平インターから東北道に乗り岩手山SAで休憩、時間は既に午後3時。遅い昼食をサービスエリアのレストランで取ることにした。



注文したのはウニ丼。夏から秋にかけて三陸のウニがシーズンを迎えるので、その地場もののウニが山盛りなのかと期待を抱かせたが、900円という値段ではチリ産のウニかも知れないと思っても見たが、出てきた丼はウニを卵で綴じた、なるほどウニ丼、と納得する一杯であった。カツ丼、親子丼、みな卵で綴じている。本当のウニだけの濃厚なウニ丼は漁場近くへ行かないと喰えないが、山の中で高速サービスエリアの食堂ではこれが限界かと納得したのであった。

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岩手山SAを出発した後、秋の日は既に薄暗く、次第に闇が迫ってきた。家路に急ぐ行楽帰りの車も次第に高速道を埋め尽くし、途中、道路工事の所為で車線規制しているところのだいぶ手前から、渋滞が始まっていた。



夜のライトを点灯しのろのろと進む車に乗り、今日は首都高並みの渋滞に巻き込まれてしまった一日と深く反省し、こちらの空いている道路環境では渋滞などあり得ないと高を括っていた己の浅はかさを恥じるのだった。そして、ドライブフィールの薄く頼りない車を選んでしまった判断力の甘さを、ウニ丼の濃厚な味を持ってしてもカバーできないという現実に、ひたすら悔やむのであった。







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