魔界の金曜日  検診の結果

前回からの続き
<あらすじ>
引っ越ししてからの規則正しい生活にやや陰りが見え始めた頃、ふとしたことから入ったCDショップが転居間際の安売りセールスをしていたことから手に入れたスティングのアルバム、Songs from the Labyrinth に触発され、それは15世紀末の吟遊詩人ジョン・ダウランドの作品をロック風に歌い上げた作品であるのだが、吟遊詩人という言葉から、昔、ポルトガルのファティマツアーで出会ったスペイン人、JUANのことがひどく思い出されたのだった。

JUANとは毎年クリスマスカードを交わす仲となり、ある年の夏、その翻訳をお願いしていたY氏共々、マドリードのJUAN宅を訪問することになりマドリード近郊を巡るツアーに旅立ったのであったが、その情景が昨日のように思い出されるのだった。


一方、引っ越ししてからの気落ちしていた気分を振り払うかのように、突然、10年振りに再会する友人が訪れてくれた。お互いすっかり老けた外観と弱った身体をいたわり合うかのように、その夜は酒を酌み交わしながらも話題は健康話に終始するのであった。
ちょうどその頃、メタボ検診で受信した結果が出てくる頃であり、内科医からは事前に血圧がやや高いと警告されていた。
<あらすじ ここまで>

【最初から読む時はここをクリック】


検診の結果は血圧を除いては全く問題がなかった。当初、日ごとの酒の飲み過ぎから肝臓の疲弊を心配していたのだが、たしかに、GOT値、GPT値とも35であり、許容値のやや上限に達していた。そして4年前の精密検査時に比べても明らかに増加傾向ではあったが、メタボ検診の前日は普段通り遅い食事をし酒も飲んだ上での受診だったことを考えれば、納得のいく数値ではあった。



さて、問題の血圧は上が138の下が86と記されていた。どちらも許容値を上回っていたのだが、それは誤差の範囲と言うべきか、内科医の先生も、あえて治療を行うほどではなく自宅で血圧測定を行い暫く観察しなさいと言ってくれたのだった。



血圧のことはそれ以来、頭から離れることはなく、毎週スイミングプールに通うとき、プールサイドに設置されている血圧計を使っては測定してみるのだった。泳ぐ前の値は、上が90の下が70と低めの値を示し、内科医の測定値とは大幅な乖離があるのだった。まさか医者の測定が間違っていることもあるまいと思い、きっと、プール設置の血圧計は手首で測る簡易型だから、誤差があるのだろうと思っていたのである。



そして、4~5スイミングクオーター泳いだ後、スチームサウナに3の3乗回入り、ジャグジーでゆっくりと身体と気持ちを労った後、測定する血圧は、何とこれまた上が90の下が70と平時と同じ値を示すのだった。唯一つ、脈拍だけは110と高い。



この事から判ったことがある。それは、泳いだ後の身体は運動やサウナにより発生する体内の熱を冷却するために血液を高速で循環させるということである。しかもその時、血管を弛緩させ血流の抵抗を極限まで低減させる。だから、血圧は上も下も平時と同じかそれより低い値を示しながらも脈拍だけは異常に高いという状態となるのだった。



泳いだ後や運動した後の血圧は、相当な高血圧状態かと思っていたが、天と地ほども異なる結果に驚くばかりであった。そして、人間の身体とは実に絶妙のコントロールを行っているのだなと感心したのである。ジャグジーから上がったとき、よく目眩のする理由も判った。浴槽の中で寝そべって発泡する湯の中にジッと身体を横たえるとき、心臓はドクドクと高速で回転しながら血液を大量に循環させ肉体を冷却している。しかし、血管が恐ろしいほど弛緩しているから血圧は最低状態となっているのだ。その時、急に立ち上がると、頭の高さまで必要な血圧が発生せず、瞬間的に貧血状態となるのである。



プールサイドで、前屈姿勢になり頭を下げ立ちくらみの回復を待つとき、肉体の冷却機構が壊れて心臓が高速で血液を送り出しながらも血管が弛緩しなくなったなら、それは極端な高血圧に襲われ一巻の終わりの時と思ったのだった。それが訪れるときは、老いさらばえて身体が言うことを聞かなくなるときが先か、それともアル中障害で神経が蝕まれるときが先か、いずれにせよ、いつかはアンコントロールになるに違い。



そのように考えると、内科医が測った血圧値とプールサイドの簡易血圧計が測った測定値の違いは取るに足らない誤差の範囲と思われてきて、絶対値の違いなどよりも経年的に大きな変化が現れることの方が重要なことだと思われてきたのである。


次回へ続く





【リーデルワイングラス チロルシリーズ】リースリング/ソ-ヴィニヨン・ブラン ペア(2個セット)
tete a tete(インテリア・雑貨)
家庭で気軽に使えるカジュアルなワイングラスシリーズ安定感のある半球型のベースの上にボウルが乗ったデザ


楽天市場 by ウェブリブログ



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 魔界の金曜日  血圧の連帯感

    Excerpt: 前回からの続き: 先日、壊れたケータイの修理手続きを終え、久しぶりのイタメシ屋でシシリーのワインを飲んで気持ち良くなった後、ヨドバシへ寄ってみた。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-10-21 21:23
  • 魔界の金曜日  迷宮のアルハンブラ宮殿

    Excerpt: 前回からの続き: 【最初から読む】 【あらすじを読む】 翌日、朝早くホテルを出発したJALバスはアルハンブラ宮殿へと急いだ。世界遺産に指定されているこの宮殿に入るためには、その切符を手に入れるた.. Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-11-04 22:27
  • 魔界の金曜日  迷宮のアルハンブラ 俗世の時は止まる

    Excerpt: 前回からの続き: 【最初から読む】 【あらすじを読む】 JALバスの中で、イベリコ豚の生ハムについて、ハーフのガイドさんが詳しく解説してくれた。イベリコ豚の中でも野生のドングリだけを喰わせて育て.. Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-11-06 21:42
  • 魔界の金曜日  迷宮のアルハンブラは若返りの宮殿

    Excerpt: 前回からの続き: 【最初から読む】 【あらすじを読む】 黒豚の女王の噂はその後、どのようになったかは知らない。昔から人の噂は75日と言われるように自然と消滅したかも知れないが、スペイン王室の名誉.. Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-11-13 21:16
  • 魔界の金曜日  雪降ってます

    Excerpt: 前回からの続き: 【最初から読む】 【あらすじを読む】 朝起きると、薄暗い部屋のなかでカーテンの隙間から漏れる光がいつもより白っぽく見えた。もしやと思いカーテンを開けてみると外は一面の雪景色。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-11-20 20:49
  • 魔界の金曜日  スイミングハイのあと

    Excerpt: 前回からの続き: 【最初から読む】 【あらすじを読む】 横浜まで 1泊2日の弾丸トラベラー を行った翌日、いつものようにプールへ出かけた。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-11-25 22:34
  • 2台目の血圧計

    Excerpt: 昨年、健康診断で血圧がやや高めとの指摘を受けて以来、毎朝血圧を測定する生活を続けているのだが、このところ、その血圧計の測定値に疑問を抱く日々が続いていた。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2009-08-21 20:02
  • 紅葉の頃、4年ぶりの人間ドッグ

    Excerpt: 秋の朝日が眩しいこの頃、街路樹も鮮やかに紅葉し始めた。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2009-10-16 19:37