黄砂の道  琢磨の気持ち

前回からの続き
秋田道は高速道でありながら片側1車線で、しかも、ほとんどの箇所が対面通行のローカル道路であった。同じローカルの 山形道 などはもっとマシで、月山あたりの極限られた箇所を除いて片側2車線確保されており且つ往路復路分離されている。同じローカルであっても北に行くほど道路整備は遅れているのだろうか、それとも、地元に有力な政治家がいるかいないかの違いなのだろうか。



錦秋湖SA を出発し、制限速度70kmの道を遵法速度+αで走っていると後続車が次々と詰まって来るではないか。悪いことをしている訳ではないのだが、なんとなく急かされる思いで気持ちが焦ってくる。さりとて、法を無視して速度を上げるわけにも行かず、ジッと我慢の運転を強いられたのだった。このようなときに限ってネズミ取りに引っかかるもので、折角あと2年ほど違反しなければゴールド免許に変わるチャンスをみすみす棒に振ることはない。



それでも、途中のインターやパーキングエリアに近づくと車線も2車線に拡がり、後ろの急ぐ車達はそのエスケープロードを利用して追い抜いていくのであった。



空は次第にどんよりと曇り始め、道も心なしか汚れが目立ち始めた。そしてそれは次第にはっきりとした汚れとなり、黄土色の薄汚れた土埃が轍のように延々と続きだしたのである。



はてさて、この周辺は田畑が多いのでこのように土埃が高速道路上に堆積しているのだろうと最初は思っていた。しかし、高速道路は回りから見ると大きく土盛りし、かなりの高さのところに作られている。それに周辺は水田や森林が続く田園地帯なので、土埃が舞う荒れ地とは異なり、多少の風が吹いてもこのように埃が堆積するとは思えなかった。そして、このところの雨模様であれば、尚更、道路の汚れはきれいに洗い流されてしかるべきなのに、黄土色の乾燥しきった汚れはまるで道を染めているかのように延々と轍模様を描いているのだった。



やがて、それは黄砂ではないかと疑われてきた。偏西風に乗り大陸の中国から運ばれてくる黄砂が高速道路に堆積しているのである。きめ細かい黄色の砂が舗装されたアスファルトの窪みや隙間を埋め、雨水に流されることもなく道を染める。1車線の道なので多くの車が通過するところは、タイヤのゴムに黄砂が付着し路面の灰色が一本の筋のように現れるのだが、その筋から少しでも外れたところは黄砂が泥のように堆積したままなのだ。



黄砂の轍。そうと分かったとき、思わずハンドルを切る手が縮んでしまった。うっかりタイヤが轍から外れ黄砂の上に乗ろうものならたちどころにスピンの危険性がある。
佐藤琢磨がF1デビューした年のモナコGPを思い出してしまった。高速トンネルの中で僚友のフィジケラに進路を譲ろうとしてレーシングコースを外した途端、車はタイヤ滓に乗りスリップ、トンネル出口でクラッシュしてしまったあのシーンを。



ハンドルを握る手と腕がすっかり固まってしまい、萎縮した気持ちがスピンの恐れを抱きながら、必死に路面の轍を外さないよう運転するが、なんとも気持ちの悪い道路である。ドライな路面なのにスピンの恐れがあり、高速道の標識にもスリップ注意と出ているではないか。



黄砂の魔物にすっかり恐れをなし、ペースを落としてゆっくりと走らざるを得ず、せっかくの高速ドライブも単なる田舎道のろのろ運転と化してしまったが、無事、昭和男鹿半島ICに辿り着き、高速道を下りて男鹿半島突端にある男鹿温泉郷を目指した。国道101号線に続くなまはげラインを北西に進み、今夜の宿、萬盛閣に到着したのは午後も4時を過ぎた頃であった。

画像



次回へ続く






【投票生産】〔Precious掲載チンギャーレ革使用旅行バッグ〕Voyage~ボヤージュ【(製作が決定した場合)11月18日頃出荷予定分】
濱野皮革工芸オンライン(バッグ)
皇室御用達『濱野皮革工芸』が仕立てる人気のweb限定ボストンバッグ大人のための旅行バッグです。チンギ


楽天市場 by ウェブリブログ



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 黄砂の道  なまはげ太鼓のきらめき

    Excerpt: 前回からの続き: 今夜の宿はネットで探した一番安い宿である。男鹿温泉郷は初めていくところなので全く事情が分からないし、さりとて思いついて急に出た旅なので事前に十分調べる時間もなかった。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-09-22 21:41
  • 黄砂の道  雨の帰り道

    Excerpt: 前回からの続き: 翌日、窓から射す朝の陽光で目覚めたが、寝不足とひどい二日酔いに気分が優れずボルテージが上がらない。昨夜、民謡酒場を引き払い宿に戻ったのは結局真夜中過ぎでとっくに門限が過ぎていた。宿.. Weblog: さよならの八甲田 racked: 2008-09-26 21:59
  • 夏の傷を癒す温泉ドライブ その6

    Excerpt: 前回からの続き: 鳥海ブルーラインを下り終わると秋田県の県道58号線に出て、それを西進すると再び国道7号線に乗ることに。 Weblog: さよならの八甲田 racked: 2010-10-18 18:57