青い眼の鯵と紅い鰹のたたき

久しぶりに 例の赤提灯へと 行ってきた。前回は八甲田春スキーの前後だったから、およそ、3ヶ月振りである。



店に入るなり、女将が、あら、珍しい、どうしたかしらと思っていたと言い、あまりに間が空いていたので、てっきり横浜に帰ってしまったのかとも思っていたと続けた。



いや、ちょっと忙しかったもんで、と、曖昧な返事をして早速、ビールを注文し、今日の肴は何か尋ねてみると、鯵だという。



そこで、鯵刺しを注文し、更にカウンターの前に張り紙してあった鰹のたたきも注文。



鯵刺しはご覧のように大きな鯵で、しかもその眼が、何故か綺麗な青色というかエメラルドグリーンぽい宝石色。鯵の眼というのはこんな色をしているのだろうか? と思いながら、昔、房総沖で鯵を釣ったときは真っ黒な眼で釣り上がったはずだがと記憶をたどるが、はて、さて、とにはさておき、この鯵は一体全体どんな味なんだろうと、早速頂くと、とびきり美味しい旬の味。

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こんなに大きくて美味い鯵は滅多に食べられないね~~、と、親父にお鉢を向けると、その通りと頷きながら、今日は秋刀魚が上がらなかったからやむなく鯵にしたというではないか。



どうやら、日本中の漁船ストライキの影響か、はたまた、原油高騰の影響か、秋刀魚漁が意図的不振となっているのだという。いまどき、ちょっとめぼしい秋刀魚なら一匹軽く600円くらいの値が付くという。そんなに高くては、とても赤提灯的小料理屋では出せないのだそうだ。



うぅ~~む、残念、旬の秋刀魚が食えなかったか、と、悔いてみたが、そもそもは原油高騰のあおりが漁師を苦しめ、そして、小料理屋を苦しめ、酒飲みの私を苦しめる。投機マネーの影響がこんなところにまで及んでくるとはと驚きながら、ひたひたと インフレと物資不足の時代 の音が聞こえてきたのであった。



青い眼の鯵を頂いた後は、親父が目の前で焙ってくれた鰹のたたき。これもとびきり大きい鰹の身をサッと焙りサクッと切ったその身は鮮やかな紅色。これがマグロだったらどんなに美味いだろうかと思い、谷山浩子の 紅マグロの世界 を想像したが、マグロも既に値が高騰してしまい滅多なことでは口に入らない。

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それでも、この鰹、柔らかくて十分、美味かったでござる。鯵にしろ鰹にしろ、昔からの庶民派肴の代表であるが、いまや、それ以上の魚を食おうとすると大枚を払わなければ喰えない時代となってしまったのだ。何かおかしいと思いながら、国家としての政治や行政が無策なら、そのうち、ここにある鯵や鰹も食えなくなる日がやってくるに違いないと憂国の酒飲みは嘆くのであった。

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